高齢者の住宅問題

高齢者の住宅問題

以前は年老いた父母が息子夫婦や娘夫婦、孫たちと同居するのが一般的であり、高齢者対策といえば病気になったり経済的に生活が困難になったりしたときにどうするか、といったことに主眼が置かれていましたが、「老人福祉法」によって、特別養護老人ホームや養護老人ホーム、軽費老人ホームの整備が進められ、自立した生活が困難になった高齢者を受け入れるため「施設」がそろうようになりました。でもこれはあくまで施設であり「住まい(住宅)」ではありません。

高齢者の割合は増え続けていて、2025年における75歳以上人口が約2,179万人で、全国のおよそ5人に1人が75歳以上の高齢者となる。と試算されています。そして深刻なのは、高齢者世帯のうち約7割が単独世帯または高齢夫婦だけの世帯とい状況です。

 

増えている高齢者の一人暮らし

一人暮らしの高齢者は年々増加しています。具体的な推移の規模と、生活の実態をご紹介します。

一人暮らしをしている高齢者の人数の推移

65歳以上の一人暮らし高齢者は、男女ともに増加傾向にあります。2010（平成22）年には、男性が約139万人、女性が約341万人、高齢者人口に占める割合は男性11.1パーセント、女性20.3パーセントという結果になっています。2025年には、男性が約230万人、女性が約470万人、高齢者人口に占める割合は男性14.6パーセント、女性22.6パーセントにまで増加する見込みです。

一人暮らし高齢者の実態

高齢者のグループ活動への自主的な参加状況は、2013（平成25）年の調査では、60歳以上の人の61.0パーセントが何らかのグループ活動に参加したことがあるという結果になっています。「健康・スポーツ」が33.7パーセント、「趣味」が21.4パーセント、「地域行事」が19.0パーセントといった順番になっており、特に近年「健康・スポーツ」の増加が顕著です。

高齢者の一人暮らしが引き起こす問題

高齢者の一人暮らしには、認知症の進行によって引き起こされるトラブルや、孤独死などの問題がつきまといます。

認知症の進行

一人暮らしの高齢者が認知症にかかると、地域の約束事を守ることが難しかったり、近所の住人とトラブルになることが懸念されます。症状の悪化に伴いごみ出しのルールを守れなくなったり、悪いことと認識できず大声で騒いでしまったり、騒音の苦情が発生したりすることがあります。認知症高齢者を一人きりで生活させるのは問題が大きいといえます。

孤独死

高齢者の一人暮らしについて考える上で、孤独死もまた避けられない大きな問題の一つです。例えば、東京23区で65歳以上の高齢者が孤独死した数の推移は、2003（平成15）年は1,441人であるのに対し、2012（平成24）年は2,727人と、およそ倍に増加しているようです。

高齢者の一人暮らしが止むをえないとしても家族や社会ができることを考えていく事は重要です。

家族ができること

一番は、「一緒に暮らすこと」ですが、難しい場合、公的な見守りサービスを活用するなど検討するとよいと思います。特に、認知症がある高齢者は、腐っているものを食べてしまったり、暑くてもエアコンを使わずに脱水症になってしまったり、危険が付きまといます。高齢者が元気に動けるうちは、働くことで社会との接点を持つことができます。他にも、サークルやボランティア活動、自治体といったグループ活動に参加するよう、家族が促して、サポートしてあげるとよいと思います。

社会ができること

社会ができることも基本的には同じです。高齢になっても働けるように、高齢者を積極的に雇用すること、地域クラブや、地域の活動など、高齢者が積極的に社会にかかわれるように仕組みづくりをしていく事が重要です。

 

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