大動脈瘤を知る

知っておきたい大動脈瘤の基本

大動脈瘤は、動脈硬化などによって“大動脈”に瘤(こぶ)状のふくらみができる病気です。大動脈とは、心臓から全身に血液を送るはたらきを持つ血管です。 大動脈瘤は自覚症状がないまま経過することが多い病気ですが、破裂した場合には突然の大出血を起こし、死亡率が非常に高い病気です。

大動脈瘤の症状

大動脈瘤があることで、嗄声させい(声が枯れたような状態)などの症状が出現することもありますが大動脈瘤自体には、それほど症状がありません。そのため、発見されずに無治療のまま経過し、大動脈瘤の破裂に伴う突然死によって病気が明らかになることもあります。

大動脈の中でも弓部大動脈の近くには食べ物を飲み込んだり声を出したりする際に重要な臓器があり、弓部大動脈に瘤ができると各種臓器が圧迫され、物の飲み込みにくさや、しゃがれ声などが現れることがあります。これが上記記載した嗄声です。

また、大きな腹部大動脈瘤の場合は、お腹に拍動する塊が見れることもあります。破裂の危険性が切迫している場合、動脈瘤の部位に沿った痛み感じることがあります。

大動脈瘤の破裂が怖いその前兆とは

大動脈瘤の多くは破裂しない限り無症状で、前兆はありません。ただし大動脈瘤が大きくなっていくと周囲の組織を圧迫して、胸部大動脈瘤なら咳、血痰、胸痛、背中の痛みが、腹部大動脈瘤なら腰痛や腹痛などがみられます。

ただし、すでにこの段階は破裂する危険性が高まっている状態で、大動脈瘤が大きくなって破裂すると急死する危険性があります。一番恐ろしいのは大動脈瘤の破裂です。これによって年間に多くの人たちが命を落としています。

健康診断などで早めに発見できるように努めましょう。

 

大動脈瘤の検査

大動脈瘤の検査は、部位によって異なります。一般の健康診断などでも見つけることができます。

腹部大動脈瘤

腹部大動脈瘤の場合は、胃潰瘍や胆石症などの消化器疾患を診断するために腹部を触診した際に、拍動するしこりとして発見されたり、腹部エコー（超音波）の検査中に偶然に発見されることができます。

胸部大動脈瘤

胸部大動脈瘤も一般的には無症状のため、健康診断などで胸部レントゲン写真を撮った時に発見することができます。

 

大動脈瘤の治療

大動脈瘤の薬はないので、血圧コントロールが主な治療になります。

ある程度動脈瘤の拡大のスピードを減らし、破裂の危険性を下げることはできますが、根本的に治療するためには外科的手術しかありません。

従来の大動脈瘤に対する手術は、開胸もしくは開腹し動脈瘤になった大動脈を人工血管に置換するしかありませんでしたが、患者に与える負担が大きいので高齢者や合併症がある患者には荷が重い手術になりますので、最近ではステントグラフト内挿術という手術が行われるようになってきました。

 

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